「てぶくろをかいに」を読んだ。
寒い季節には母と子のほのぼのと温かいお話しが読みたくなる。
それにしても、日本語が美しい。
さむい冬が北方から、きつねの親子のすんでいる森へもやってきました。
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「おかあちゃん、おててがつめたい、おててがちんちんする。」
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くらいくらい夜がふろしきのようなかげをひろげて、野はらや森をつつみにやってきましたが、雪はあまり白いので、つつんでもつつんでも、白くうかびあがっていました。
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そして、私の一番大好きなシーン。
かあさんぎつねは、しんぱいしながら、ぼうやのきつねの帰ってくるのを、いまかいまかと、ふるえながらまっていましたので、ぼうやがくると、あたたかいむねにだきしめてなきたいほどよろこびました。
にひきのきつねは、もりのほうへ帰っていきました。月が出たので、きつねの毛なみがぎんいろに光り、その足あとには、コバルトのかげがたまりました。
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「ほんとうににんげんは、いいものかしら。ほんとうににんげんは、いいものかしら。」と、つぶやきました。